ペテロとアンデレの召命

 


目次

◆天地創造
◆アダムの創造
◆女の創造
◆蛇の誘惑
◆楽園追放
◆楽園追放
◆カインとアベル
◆ノアの箱舟
◆大洪水
◆鳩を放つ(ミレイ)
◆鳩を放つ(ドレ)
◆ノアの祭壇
◆受胎告知
◆羊飼いの礼拝
◆東方三博士の旅
◆三博士の礼拝
◆エルサレム入城
◆弟子の足を洗うキリスト
◆最後の晩餐
◆ゲッセマネの祈り
◆聖衣剥奪
◆十字架の下での悲しみ
◆十字架降下
◆我に触れるな
◆キリストの洗礼1
◆キリストの洗礼2
◆悪魔の誘惑
◆ペテロとアンデレの召命
◆マタイの召命

日本聖書協会発行『アートバイブル』より
『アートバイブル』の絵の使用については、当サイトより日本聖書協会に申請をして、同協会より許諾を得ています。」2007N10010 ●聖書からの黙想は、:坂野慧吉著「創世記」『新聖書講解シリーズ:旧約1」(いのちのことば社発行):を参照しています。

「名画で巡る聖書の旅」

バイブル・アンド・アート・ミニストリーズ / 代表 町田 俊之

■第29回 カラヴァッジョの「マタイの召命」
(1601年、ローマ、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会)



29、カラヴァッジョの「マタイの召命」<アートバイブル:p.51

◆聖書箇所   
イエスはそこをたち、通りがかりに、マタイという人が収税所に座っているのを見かけて、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は立ち上がってイエスに従った。イエスがその家で食事をしておられたときのことである。徴税人や罪人も大勢やって来て、イエスや弟子たちと同席していた。ファリサイ派の人々はこれを見て、弟子たちに、「なぜ、あなたたちの先生は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか」と言った。イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」            ――マタイ9章9〜13節

◆聖書からの黙想
マタイの職業はユダヤの人々から税を徴収する取税人でした。ユダヤはローマ帝国の支配下にありましたので、彼はいわばローマ政府の手先として働いていたのです。ですから、税金を収める人々からは煙たがれていました。お金があっても決して満足した生活ではなかったのでしょう。その収税所にイエスが通りかかり、マタイに声を掛けられます。声を掛けられたことも驚きですが、その内容を聞いて、さらにマタイは驚いたことでしょう。それはイエスについて来なさい、との言葉でした。
今まで、そんな親しみと威厳のある言葉で呼ばれたことのなかったマタイは、すぐにその方に心を開き、その方についていく決心をするのです。皆に嫌われている自分を大切にしてくれた喜びは、さっそく同じような境遇にいる仲間たちを集めさせ、イエスと共に食事をする関係にまで発展しました。
しかし、その様子を遠くから眺めていて、面白く感じていたなっか集団がありました。ユダヤ教の律法に詳しいファリサイ派の人々でした。彼らは自分たちの生き方に自信を持っていて、マタイとその仲間たちのような人々を律法から外れていると見下していたのです。
イエスは、ファリサイ派の人々の心を見通して、何のために自分がこの世に生まれてきたのかを説明されます。イエスは、この世で罪に対する弱さのうちを歩み、また目標もなくさまよっているような人々が、もう一度神に立ち返り、本来の人間の生き方に回復されるためにこそ来られたお方なのでした。

絵画からの瞑想
当時のユダヤはローマ帝国の支配下にあり、取税人たちは自国の民から税金を徴収し、人々からはローマ政府の手先であると思われていました。彼らは豊かな生活(服装を見れば分かる)をしていながらも、民衆からはその職業ゆえに嫌われていたのです。
そこにイエスが通りかかり、取税人の一人であるマタイを指差して、力強いことばを語るのです。「わたしについて来なさい。」・・・このことばは右上から差し込む光の方向と重なって、神のことばと等しい権威と力とが表わされています。マタイは自分のことかと一瞬の疑いを持ちながらも、自分のような者が指名されたことに何とも言えない喜びを感じます。
カラヴァッジョは、この場面を光と闇のコントラストを用いて、まるで自分もそこにいて観劇しているような臨場感のともなうドラマチックでダイナミックな表現で描きました。
この臨場感こそ当時の人々の評判を呼び、後代の画家たちもカラヴァッジョの画風に習うようになっていくのです。この作品(礼拝堂には三枚の連作となっている)が原点となって、後のバロック美術の様式が始まったと言われています。



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